組織の仕組みから防ぐ
ダークパターン
消費者を意図せぬ契約や不利な選択へ誘導する「ダークパターン」への規制強化に向けて、消費者庁の検討が本格化しています。 必要なのは、個々の画面の手直しではありません。ダークパターンの多くは、悪意ではなく、 成果を追いかける組織の構造の中で「無自覚」に生まれるからです。
コンセントは2021年からダークパターンの調査・研究等を通し、社会への問題提起や被害防止に向けた啓発活動に取り組んできたデザイン会社として、 規制の動きも読み解きながら、ダークパターンを生まない組織とデザインプロセスづくりを支援します。
01 — Regulation
いま起きていること
2026年9月10日、制度改革も視野に検討が進められてきた、消費者庁「デジタル取引・特定商取引法等検討会」の中間取りまとめが公表されました。 ダークパターンについては包括的な規律の検討が言及されるとともに、 広告・契約・解約の3つの場面における規律の方向性が示されています。 さらに今後、具体化に向けて全力を尽くしていく意向が、同日開催された堀井消費者庁長官の記者会見で表明されています。
直近の消費者庁の動き
- :「いわゆる『ダークパターン』に関する取引の実態調査」を公表
- :堀井消費者庁長官が記者会見で、具体的制度改正に向けた検討会を進める方針を表明
- :第1回「デジタル取引・特定商取引法等検討会」を開催
- :「Webページ等におけるいわゆるダークパターンに対する消費者意識調査」の結果を公表
- :「デジタル取引・特定商取引法等検討会」中間取りまとめの成案を確定し公表。堀井消費者庁長官が記者会見で、今後、パブリック・コメントも実施しながら具体化に向け全力を尽くす意向を示す
一次情報: 消費者庁 デジタル取引・特定商取引法等検討会 / いわゆる『ダークパターン』に関する取引の実態調査 / 堀井消費者庁長官記者会見要旨–2025年11月13日(木) / Webページ等におけるいわゆるダークパターンに対する消費者意識調査報告書 / 堀井消費者庁長官記者会見要旨–2026年9月10日(木)
02 — Perspective
コンセントの視点
ダークパターンの議論は「悪質な事業者を取り締まる」文脈で語られがちです。 しかし、サービスデザインの視点で企業のみなさまの組織開発を支援してきたデザイン会社として、 “悪意がなくても無自覚に使用してしまう可能性があること”を前提に取り組むべきだと考えています。
悪意より「無自覚」から生まれるダークパターン
コンセントが2023年・2024年に実施した独自調査では、消費者の約7割が何らかのダークパターンに遭遇している一方、 企業の現場では「だますつもり」がなくても、コンバージョン率や解約率といったKPIを追いかける日々の意思決定の積み重ねが、 結果としてユーザーを欺く表現を生んでしまう構造が確認できました。 まず必要なのは、この構造への理解と対策です。
対策は、
画面から組織へ
無自覚に生まれるものは、個別のUI修正では防ぎきれません。目標設定のあり方、部門間のチェック体制、 声を上げられる組織文化、デザインプロセスへの倫理観点の組み込み。 ダークパターンを「生まない」仕組みと、それでも生じたときに透明性をもって「向き合える」仕組み。 その両方を組織としてつくることが、対策の本質です。
規制対応は
信頼への投資
海外では、ダークパターンによって築いた短期的な成果が、制裁金と信頼失墜という形で跳ね返る事例も相次いでいます。 逆に、誠実に設計された体験は、顧客との長期的な関係と事業成果を両立させます。 規制対応を「守り」で終わらせず、よい顧客体験への投資に転換すること。それがこれからの競争力になると私たちは考えます。
Message:
ダークパターンは、ウェブやアプリのUI(ユーザーインターフェース)の問題である以前に、企業の意思決定の問題です。KPI、部門ごとの役割分担、商慣習──個別には理由があったとしても、結果的にそれらの積み重ねによって、利用者に不利益な選択を促す体験を生んでしまうことがあります。そして、これがダークパターンの本質ですが、利用者がそう感じてしまえば、それはダークパターンになってしまいます。
この問題は担当者個人、ましては担当するデザイナー個人に委ねてはなりません。何を成果とし、どこで立ち止まり、誰が異議を唱えられるのか。その仕組みをつくることは経営の責任です。
規制への対応は、社会が求める最低ラインを守ることです。しかし、企業に問われるのは、その先に顧客とどのような関係を築くのかということではないでしょうか。短期的な成果と引き換えに信頼を損なってしまうのではなく、誠実な体験そのものを企業の事業価値としていく。コンセントでは、倫理を事業の制約ではなく、よりよいサービスを生み出すための設計原則として捉え、企業の皆さんとともに組織とデザインプロセスの両面から実践を重ねていきます。
03 — Resources
コンセントの知見
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noteマガジン「ダークパターン関連情報」
国内外の動きが掴めるように、各国の法規制や訴訟、研究論文などの情報を毎月発信しています。
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ダークパターンレポート2024 — ダークパターンの無自覚な使用を防ぐために
“無自覚な使用”を防ぐために、企業は何ができるのか? 4社の取り組み事例から、課題を整理し組織的な対応の鍵を考察します。
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ダークパターンレポート2023
消費者799人への意識調査。認知度・被害実態を探り、消費者の目にダークパターンがどのように映っているのかを明らかにしています。
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書籍『ダークパターン 人を欺くデザインの手口と対策』(BNN)
ダークパターン問題の提唱者ハリー・ブリヌル氏の著書の日本語版。デジタル時代のクリーンなユーザー体験への手引きとなる一冊です。長谷川敦士監修。
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セミナー動画「ダークパターンの先へ —デザインでつくるこれからの社会—」(無料公開中)
デザインでできることは何か? 「防止」を超え、「そもそもだまされない」ためのデザインの可能性を考えます(2024年12月開催セミナーのアーカイブ動画。57分)。
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「日経クロストレンド」連載「『ダークパターン』予防線」
そもそもの定義や生まれてしまう構造、企業に及ぼす負の影響や防止策、海外の法規制など、マーケターが知っておくべきダークパターンの基礎知識を解説しています(連載期間:2022年〜2023年。全5回)。
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YouTube動画「ちょっと待った!もしかしてダークパターン?」
身近にひそむ“ダークパターン”の代表的な事例をアニメーションでわかりやすく紹介。騙されないためのポイントを探ります(各回約1分半。全3回。2024年公開)。
04 — Track record
コンセントの取り組み
コンセントは、ダークパターンが日本で広く知られる前の2021年から、調査・研究・発信活動を通し、社会への問題提起・認知形成に取り組んできました。
- セミナー「ユーザーを惑わすUI『ダークパターン』その仕組みと向き合い方」を主催。一般社団法人 行政情報システム研究所発行の機関誌に、論考「ダークパターンとサービスデザイン」を寄稿
- 消費者庁「第3回 消費者法の現状を検証し将来の在り方を考える有識者懇談会」にて、代表・長谷川が「ダークパターン その構造と向き合い方」を発表
- 消費者799人への意識調査を実施、「ダークパターンレポート2023」として公開。NHK「おはよう日本」のダークパターン特集に取材協力
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ダークパターン研究の基本文献、ハリー・ブリヌル著『ダークパターン 人を欺くデザインの手口と対策』(BNN)を長谷川が監修。総務省「消費者保護ルールの在り方に関する検討会」で発表し、同報告書に反映。企業4社への取材をもとに「ダークパターンレポート2024」を公表
- 独立行政法人国民生活センター発行「国民生活」2024年3月号の特集に、「消費者を欺くダークパターンとは」を寄稿
- NHK「クローズアップ現代」で、ダークパターンに関する調査に協力
- ダークパターン問題の提唱者ハリー・ブリヌル氏の著書の日本語翻訳版『ダークパターン 人を欺くデザインの手口と対策』を長谷川が監修
- 総務省「消費者保護ルールの在り方に関する検討会」第53回に、長谷川が有識者として参加しダークパターンの構造や課題について発表。後日公表された同省「消費者保護ルールの在り方に関する検討会報告書2024」に発表内容の一部が掲載
- 企業における使用防止の取り組みについての調査を実施、「ダークパターンレポート2024」として公開
- 独立行政法人国民生活センター発行「2025年版 くらしの豆知識」に、「ダークパターンって何?−消費者を欺くデザイン」を寄稿
- セミナー「ダークパターンの先へ——デザインでつくるこれからの社会」の動画を無料公開
- 特定非営利活動法人 人間中心設計推進機構「アンエシカルデザイン研究会SIG」メンバーとして、イベント「ダークパターンから考える、アンエシカルデザインの行方」を開催。日本テレビ系NNN30局のニュースサイト「日テレNEWS NNN」で、ダークパターンに関する取材に協力。企業からの個別のご相談や社内レクチャーなど、企業向けの支援、各種業界団体やメディアとの対話・議論も継続
05 — Contact
お問い合わせ
ダークパターンに関するお悩みやご相談など、お気軽にお問い合わせください。
以下のように、組織的な対応のような中長期の取り組みはもちろん「まずは現状の不備を一刻も早く解消したい」といった短期での問題解決にも柔軟に対応いたします。
- 自社のサイトやアプリ、広告などがダークパターンに相当しないか点検したい
- 成果を優先してダークパターンを生み出しそうな場面での抑止方法に困っている
- 経営層を含めた全員が自分ごととしてダークパターンに向き合えるようになりたい
何がダークパターンにあたるのか、その線引きは実は簡単ではありません。法的には問題がなくても、 倫理やブランドの観点から見直したいコミュニケーションもあります。私たちはこの判断の難しさを前提に、 「これが正解」と言い切るのではなく、みなさまの状況に寄り添って考える伴走を大切にしています。
メディアのみなさまへ
時代の価値観、技術革新、事業のトレンドなどによっても何がダークパターンであるかは変わっていくもの。 被害や無自覚な使用を防ぐためには、一人ひとりが自分ごととして捉え、多様な観点を交差させながら、議論し続けていくことが必要です。
コンセントでは、ダークパターンが日本国内での認知が広がる以前より、社会で取り組むべき問題として提起し、情報発信・啓発活動を続けてまいりました。 実務での知見に基づき、消費者への注意喚起だけでなく、事業者側がダークパターンに陥りやすいジレンマなど、多角的・実践的な視点で捉えて取り組んでいます。
そのためにもメディアの皆さまとの活発な意見交換が大切だと考えています。
意見交換の場、取材協力やイベント共催など、ぜひお気軽にご相談ください。